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2015年03月28日
家具のフクタケのつぶやき昨日、大塚家具の株主総会で父親の退任を求めた大塚久美子社長側の議案が賛成多数で可決されました。
一月から世間を騒がせた大塚家具のお家騒動は一旦は幕を引きとなりました。
あらためて大塚久美子社長就任おめでとうございます。
これからもまだまだ乗り越えなければならない大きな山々があるかと思いますが大塚家具だけでは無く家具業界全体の活性化を目指せすという志を持てば
必ず乗り越える事は出来ると私は信じています。
株式上場企業の社長という重大な立場、そしてこれからの家具販売業界の方向性を担うという重責を考え心から応援したいと思います。
ただ『大塚家具 お家騒動について、大塚家具 父と娘の対立争点は?、大塚家具の販売方法について 』で書きましたが基本的な部分では
勝久会長、久美子社長とも値段設定が自由にできる大塚家具でしか買えない輸入品で利益を上げるというスタイルは全く変わっていません。
会員制をやるとかやらない、高級路線をどうするか?そこの部分は大した問題ではありません、表面のパッケージを変えただけ中身は一緒です
高すぎる利益率をお客様に見透かされているとココにメスを入れる時期だと思います。
先回の弊社のブログに書きました大塚家具の業績悪化の原因はアベノミクスのによる急速な円安の為の大塚家具の仕入れの55%を占める輸入家具の急速な仕入価格の上昇。
本来であれば、円安になれば国内メーカーへの仕入れの軸足を移すべき状況です。
しかし自由に値段設定のできる輸入家具で高い利益率を確保する為、そして国内メーカーからは敬遠されている。
この2つの要因により業績が悪化したという内容のブログを書きました。
大塚家具の現状分析と業績の悪化の原因を先回は書きましたが、今後はどうやって経営状態を改善するかという事になってきます
大塚家具の売り上げ総利益は11年から55%超えて推移している。
ちなみにニトリホールデングスの昨年度総利益率は52・2%、
大塚家具が中価格帯のモデルとして掲げているアクタスは昨年度47・2%。
大塚家具の総利益率がいかに高いかわかります。
そこで経営改善策として
①利益率を5%下げてお客様に還元する
②輸入家具の販売価格を下げ、回転率を上げて倉庫の維持費・賃借料を下げる。
店舗も可能な限りより郊外の安い維持費の店舗に移転する
③国内メーカーとの信頼関係を修復する
①まずは55%という利益率を50%に下げ、不信感を持たせてしまったお客様に還元する。
利益率を5%下げれば商品価格は1割下げる事が出来ます。
社長はすでにセールを開催すると言われているので、いわゆる大塚オリジナルの家具がどこまで価格を下げるか見ものです。
②輸入家具の販売価格を下げ・・・ですが、ただ値下げをすれば経営は苦しくなるばかりです。
同じ家具業界で業績を伸ばしているニトリがあります。
ニトリの平成27年2月期 第3四半期決算(2014年2〜11月)損益計算書を見ると、商品の在庫期間は2.4カ月=(棚卸資産393億円÷1カ月の売上原価165億円)
かたや大塚家具の在庫期間は貸借対照表から同じように計算すると7.5カ月分の在庫でした(150億円の商品の在庫÷1カ月の商品売上原価20億円=7.5カ月)。
ちなみに弊社は4.5ヵ月でした、フクタケの売上の2割を占める輸入品もメーカーが国内在庫を持って都度商品を取りよせ可能。
国内メーカの商品は受注生産が多く、在庫は必要ありません。
大塚家具の7.5カ月分の在庫の多くは売り上げの55%を占める輸入家具だと考えられます。
いくら粗利が高くてもこれだけの期間在庫を持つのは大変です。
家具は大きく重量もかなりあり、傷つきやすい為積み重ねる事が難しく、保管には広い倉庫が必要になります。
大塚家具の仕入れの55%を占めるオリジナルの輸入家具の販売価格を下げ、回転率を上げる。
在庫期間を短くしてそうする事で倉庫の維持費、賃借料を下げる。
一般的に高級な家具になればなるほど利益率は低くなっていきます。
一軒当たり客単価を上げて営業経費、配送経費、後からのクレーム対応が少ない為、それでも利益は十分に出ます。
弊社は粗利は33%と低いですが、ソファ、ベッド、ダイニングの客単価は全国の平均の3倍、
これで十分に経営は成り立っています、さらに店舗のお金がかかっていません。
もう一点利益率を下げる事で、場所が一等地そして立派なビルでなくても高級な家具は売れるようになりますます。
安く仕入れた家具を高く販売するにはイメージ作りや販売店のブランドが必要になるからです。
お客様は高い家具を買うとき立派な建物や店の雰囲気で安心感を感じ高級品を購入されます。
そういった場所であれば原価率の低い家具も高級に見えてしまいます。そこで高級品を販売しながら価格を下げる、そうすれば店舗にかかるコストは下げれます。
後はお客様に家具の長所だけでなく欠点もしっかり説明する、家具ありのままに説明すればお客様に伝わりご購入頂けます。
必要以上に家具を良く見せようとすればお客様は確実に見抜かれます。
事実を正直に話す、これが出来れば、冷暖房の効かない倉庫、対人恐怖症の家具職人だった私にも高級家具が売れる様になったのです。
平成24年9月に行われた一脚平均30万円のストレスレス®チェア(パーソナルチェア)が単独の催事での自社の売上げは、1500万円。
この売上高は同時期に行われた東京伊勢丹での催事の売上高2000万円に次ぐ2番目の売上げを出しました。
また、この売上高は同時期での松坂屋(名古屋)の数字を上回っています。お客様に家具の長所だけでなく欠点もしっかり説明する、
家具ありのままを正直にに説明すれば高級な家具でも売れます。
何度か大塚家具に行ってはいますが、接客に関しては商品知識の無さが目に付きました。
おそらく利益率の高い大塚家具オリジナル家具を販売する為に作られた
間違ったマニュアルの知識を詰め込んだだけだと推測できます。
そこの矛盾点がめについて仕方がなかったです、あとは値段と商品に対して違和感を感じましたね。
事実を隠して接客すればどこかでボロが出てしまいます。家具に関して、正直に長所も欠点も事実話せばいいだけです。
弊社で出来たので、大塚家具であれば簡単に出来るでしょう。
③国内メーカーとの信頼関係を修復する事は急務でしょう。
以前のブログに書いたので内容です。
『弊社の取扱いのある某有名メーカーの担当営業マンが言っていました。
「大塚家具との口座がようやく無くなりました。色々とご迷惑をおかけしましたが、本当に良かったです」
これは担当営業マンが普段から取引先の悪口を言う非常識な
営業マンではありません。とても礼儀正しい方です。
大塚家具がうたっている市場最低価格保証があります。
これを実行する為「市場の相場より安く見積りをして、実際は自社オリジナルの家具を販売する」
とゆう販売方法の“おとり”に使われるだけで、全く売上にならない。
そして、市場の相場を崩してしまい販売店は利益にならない為、展示を外されてしまうなどデメリットしか無かったから。
一流の国産家具メーカーも今あげた理由により、新規の取引をしないケースが多いと思います。
すでに口座のあるメーカーでも積極的に販売量は増やそうとはしません。
他にも理由はありますがこの場で伏せておきます。』
円安や木材の高騰さまざまな環境の変化に対応していくためには国内メーカーとも信頼関係を修復していく必要性はあります。
国内家具メーカーの技術は成熟していて、ヨーロッパの海外のメーカーを凌ぐ家具も作られています。
どれだけコストを抑えても輸入家具は現地の販売価格の1,5〜2倍の価格になってしまいます。
家具の販売店の店舗数は2007年ですでに最盛期の3分の1になっています。
そして家具小売業の販売額もほぼ3分の1になっています
お客様に良質な家具を安く提供する為にも、国内家具メーカーとの関係性を強化するのは必須です。
大塚家具には自社だけの利益追求ではなく、近江商人の『売り手よし・買い手よし・世間よし』の”三方よし”をもって経営にあたっていってほしい。
世界でも認められる成熟した技術を持つ日本の家具メーカーでも販売店の減少が続けば経営が成り立たなくなる。
技術の継承が危ぶまれる事態も直ぐそこまで迫っている。
高級家具を販売最大手の大塚家具にはここを支えていく責務があると思います。
今回はたまたま大塚家具が話題になっただけで
弊社も含め全ての家具販売店の問題だととらえる時期です。
今回の騒動を機に少しでもいい方向に家具業界が向かう事を切に願います。
家具の福岳
小川直樹