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2014年09月13日
家具のフクタケのつぶやき飛騨の家具というと、単純に飛騨高山にある家具メーカーの商品であれば
飛騨の家具だと思われるかもしれません。
上の画像のブランドマークは下記の厳しい基準をクリアした家具にしか付きません。
以下は飛騨の家具・飛騨デザインから
引用させて頂きました。
1.産地基準ですが、当たり前のように思われるかもしれませんが、
実際は最終工程が日本であれば国産とうたえるのが家具業界の現状で、
純国産と書いてあってもあらかた中国、ベトナムなどで生産した物を日本で手を加えて国産といっている
家具が多いのが残念ながら現状です。
2.木材基準、これは製品になった時にはほとんどわからない部分です。
しかしとても重要です。それは耐久性となって表れてくるからです。
木材の特徴を見抜き、適材適所に使い分ける事はもちろんですが、いくら良材を選んでも、
乾燥の仕方次第では不良材になってしまいます。
木材の乾燥技術は家具作りの基本で、製材後、8~24か月かけて天日で乾燥させて、人工乾燥器で
含水率8~10%を目処に乾燥します。
それをしないと家具になった時、割れや反りの原因となってしまいます。
3.品質基準ですが、もちろんPL法(製造物責任法)に対応しています。
消費生活用製品安全法についても、各社で製品安全対策委員会を組織して万全を期しています。
4.保障基準、張地やウレタンやスプリングなどを除いた木部に限り常識的な範囲で使用で家具が壊れて
使えなくなったり不具合があった場合無償で修理交換しています。
これは実際のところかなり思い切った決断だったと思います!
これはイスの保障基準としてはかなり過酷です。
10年間はまず壊れないという自信が無ければ出来ない基準です。
当然ですがしょっちゅう不良が出ていれば会社はつぶれてしまいます。
私の家でも飛騨の家具を35年間使っていますが、塗装が剥げてきてる以外は何の問題もありません。
後、公的機関の国際基準の耐久試験が義務づけられています。
以下「飛騨の家具物語」より引用です。
[認証基準・品質基準]
事例「椅子の性能試験内容」
家具・椅子及びスツール・耐久性試験方法
日本工業規格(JIS S 1203) 国際規格(ISO 7173)
基本試験/座面耐久試験及び背もたれの耐久性試験の複合
座面に950N(96.9kgf)、背部に330N(33.6kgf)の力を交互に負荷する動作を5万回繰り返す。
(試験レベル区分レベル3)
簡単に言うと上の画像のように機械で、座面95キロ、背もたれに33キロの交互に加重を3万回加える
物凄く過酷な耐久試験です。
もっとスゴイのが上の写真いすは3.8キロという軽いイスでもそれをクリアしているのです。
この椅子をコピーして東南アジアで作られたイスがありますが、同じ耐久試験をしたところ
千回ももたずバラバラになってしまったそうです。
5.デザイン基準、独自に飛騨デザイン憲章に準じた家具作りをしているそうです。
第1条 自然との共生
飛騨デザインは、自然との共生を考慮し、
将来も持続可能なものづくりのあり方を追及します。
第2条 人がつくる
飛騨デザインは、人の手の技を尊重し、
作り手が喜びと誇りを感じられるものをめざします。
第3条 心の豊かさ
飛騨デザインは、世界の人々に心の豊かさと、
精神のやすらぎを与えるものをつくります。
第4条 伝統を生かす
飛騨デザインは、日本の伝統文化を尊重しながら、
現代と未来のくらしの中で、輝いて生き続けるものをつくります。
第5条 永続性
飛騨デザインは、永く使い続けられ、
永くつくり続けられるデザインをめざします。
6.エコロジー基準、家具の素材としてF☆☆☆☆を満たしたホルムアルデヒドの少ない塗料、接着剤、
などの材料を使うことです。
今新しい家を建てるときこのF☆☆☆☆を満たした材料で家を建てることが義務付けられています。
しかし家具には法律は適用されず、なんだか可笑しなことになっています。
これに対して産地をあげて対応することはもっと高い評価をしてもいいと思います。
今回あらためて飛騨の家具の認定基準を調べてみると、かなりハードルは高く、
他の家具産地ではまず対応できなかったのではないだろうかと思われます。
これは歴史のある飛騨の匠が培ってきたDNAがあって初めて出来たことだと思います。
家具の福岳
小川直樹