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2015年04月18日
家具のフクタケのつぶやき大塚家具大感謝フェアが本日より開催されています。
いや〜本当にうまいと言うかしたたかですね!
今回のお家騒動を利用してマスコミを巻き込み、ただで宣伝してもらうとはすごいですね。
あらかじめ計算づくの親子ゲンカを演じていたのではとさえ思います。
今回はこの話は触れません、販売方法に注目して見たいと思います。
勝久前会長が進めてきた会員制からの脱却を図り「入りやすい店」へ全店改装。
大塚家具、会員制を見直し 久美子社長に聞く
「気軽な店」前面に再出発
日経新聞より引用です。
『会員制の見直しについて、久美子社長は来店客に寄り添う接客が結果として「足を踏み入れにくい『高級家具店』という誤解につながっていた」と指摘。
今後は来店客の希望を受けてから、社員が1対1で接客する方法に全面的に切り替える。
一方、商品については「価格帯を変える必要はない」と断言した。
例えば、3人掛けのソファの売り上げでは現状、60万円以上の高額品の構成比は15%程度にとどまり、売れ筋の価格帯は10万~20万円台。
消費者に入店をためらわせる会員登録をやめるだけでも客数は増え、「既存店は伸ばせる」と主張する』
受付を止めて、希望者だけに接客して提案型の販売をするそうですね。
入り口のカウンターを無くせば当然気軽に来店される様になり、
お客様は自分の感覚で予算に合わせて欲しい家具だけを購入する事が出来ます。
一見問題無いようですが、これは非常に危険です!
弊社は受付だけは無いですが、可能であれば手動のオーク材の扉を開けてお出迎えします。
お客様がご来店されたら直ぐ声をかけて、様子を見ながら何を探しているか探りながらお声かけをします。
ソファであればお客様の体型や歩き方と姿勢を観察します。
そしてお客様の要望やお好みや家族構成、
家の間取りや床素材や色、そして建具の色などを少しづつ聞き出していきます。
お客様が気に入って頂けそうな定番のソファにかけて頂く様に進めていきます。
実際に座って頂いたら、今度は座り方を観察。
それを見てさらにピンポイントで、お客様が座りやすいソファを提案して、そこでそのソファの商品説明をしていきます。
お客様が気に入って頂くソファは当初のご予算を超えている場合がほとんどで、
それでも座り心地の良さとデザインそして耐久性に優れている場合、お客様は納得してご予算以上のソファをご購入いただくことが大半です。
ニトリで4万円のソファを見ていた方がカンディハウスの30万円のソファをご購入されたら事もあります。
また、10万円の下駄箱を探していたお客様が100万円のソファと25万円の下駄箱を購入された事もありました。
この事例はお客様の予算とご要望が解離していて接客の中ではじめて気がつき、
予算を上げて望みのスペックのソファを購入されただけです。
高級家具を販売して行くには、この様にお客様の要望を聞き出し家具を提案して行く事が絶対欠かせません。
誰でも入りやすくして、希望者だけに 接客する事お客様ご予算だけで家具を購入される為、単価を上げる事は大変です。
残念ながら日本の家具屋はニトリやイケア、アウトレットの安売りの家具屋が全盛の時代です。
お客様は本物の家具に触れる機会が減っている為、家具に対する価値観が無くなっているのが現状で、
来店されてから本物に触れて家具への価値観を作りだしてから販売することが求められているのです。
家具を購入する事は本当に難しい、特に中の見えないソファは特に難関です。
ここで大塚家具の品揃えの多さが災いします。お客様が欲しい商品を探しにくいからです。
また、購入意欲の低いお客様も来店される様になり、家具を本当に買いたいお客様へのサービスにも悪影響を与えかねません。
私は前会長と現社長との良いところだけとった中道を行く経営もあったのでは無いかと思ってます。
高級家具を販売をするには絶対に対面販売で提案型の営業が必要なのです。
気軽に来店出来る店はまだ良いですけど、希望者だけへの接客はリスクが高い為、
①初めは受付で名前を書かないが販売員は基本的にお客様につき、希望者のみに会員になってもらう。
②ピンポイントでお客様を希望される家具へ案内説明する。買う予定の無い家具まで案内しない。
③店舗が広すぎて買い物がしにくいため、ある程度絞り込んだ家具のジャンル別に分けた小型の店舗を増やす。
④既存の店舗も商品を絞り込む、郊外へ移転してコストを下げる
今回のセールだけでなく継続的に価格を下げる企業努力は必要でしょう。
大塚家具の高すぎる利益率のお客様が気づき始めています。
今回のセールはおそらく成功するでしょう、なぜなら家具の値段を下げたからです。
そして、通常の価格に戻せばまた同じことですし、今度は希望者のみの接客で客単価を落とす可能性は高い。
今回のセールは一過性のものです、そこから先が本当の久美子社長の経営者としての手腕を問われます。
家具のフクタケ
小川直樹