ホーム > 家具屋のつぶやき > 「日本はスゴイ」と言う話をよく耳にするようになりました
2016年05月20日
家具のフクタケのつぶやき最近「日本はスゴイ」と言う話をよく耳にするようになりました。
実際に素晴らしいスポーツ選手や文化人の方々は沢山見えますし、
素晴らしい技術を持つ製造業は数多くあると思います。
かたや家電業界はシャープが象徴するように全体的には衰退の一途をたどっているように見えます。
また、旭化成のデータ改ざんや三菱自動車の燃費偽装など
消費者の信頼を裏切るような行為を繰り返す企業のニュースも多く耳にするようになってきました。
昔の電化製品は長持ちしたけど最近のはすぐ壊れる物が多くなったような気がします。
日本人が持っているはずの生真面目な気質は失われつつあるのでしょうか。
実際の所どうなんでしょうね?
専門外の分野では正確な判断が出来ません。
もちはもち屋、私は家具屋なので家具をとおして「日本はスゴイ」お話しします。
家具の場合世界と肩を並べる技術を持つ家具メーカーもある。
特にクラシックなティストの家具を除けば、木製のイスの製造技術は世界でもトップクラス。
これは世界一の家具の展示会 ミラノサローネと
NO2のIMMケルン国際家具見本市に足を運び多くのイスを見てきました。
北欧の名作と言われるイスなどと比較しても自信を持って
日本のイス作りの技術は世界一だと私は考えています。
日本には世界最古の木造建築物 法隆寺があります。
建てたのは飛騨の匠と呼ばれる人々。
その技術は日本の建築に始まり木製品の加工技術の基礎を作ったと言っても過言ではないでしょう。
その流れをくむ飛騨高山の家具メーカーの木を加熱して曲げる“曲げ木”の技術は間違いなく世界でもトップの技術です。
元々、曲げ木の技術はミヒャエル・トーネットが発明し日本に伝わったのですが、
元来手先な器用な民族の日本人は独自にこの技術に磨きをかけていきました。
3万円台のイスにも木部に10年保証をつける事が出来る圧倒的な耐久性はスゴイです!
洗練されたデザインと高い技術力で海外でも評価の高い旭川のカンディハウス。
昨年、発表された深澤直人氏デザインのKAMUYは
カンディハウスの高い技術力と共に高く評価されていていずれ名作と呼ばれるチェアになると思います。
またことしケルンで発表されたミヒャエル・シュナイダー氏デザイン『TEN』は、
ポリカーボネートと木という異素材を組み合わせが画期的でヨーロッパでは高評価。
200脚以上の受注があったそうです。常にチャレンジし続ける企業の姿勢はスゴイです!
他にも素晴らしい家具を製造している家具メーカーは沢山ありますが、
残念ながら安価な海外製の家具が大量に輸入されるようになって、
価格競争に巻き込まれ品質を低下させていった国内の家具メーカーも多いのも事実。
家具用の広葉樹は高騰を続けて行く中での海外との価格競争には無理があります。
耐久性など品質も犠牲にして価格を下げて家具を製造する場合もあります。
自動車などの生産ラインで取り入れられる“カイゼン”を家具の製造現場に持ち込むことで
品質を落とした家具メーカーもあります。
また過去の栄光に胡坐をかき、信頼を切り崩し他のメーカーのヒット商品のコピーを製造する有名メーカーもあります。
ここ10年で急速に品質を落としていった日本の家具メーカーは多いと思います。
高い品質やデザインの家具を作り続けるメーカーと
コスト意識にだけが高くなり安く作る為に効率だけを優先し品質を低下させた家具メーカーの2極化が進みつつあると思います。
そして後者の家具メーカーを購入したお客様は価格の割に満足感が得ららず、
良い家具を長く使うという価値観を失っていきます。
家具市場を自ら崩壊させているのです。
日本には凄い家具メーカーもあるが、
そうじゃない残念な家具メーカーが増えつつあります。
日本がかつての国力を失い、かつての栄光にすがり
「日本はスゴイ」と思いたい気持ちは日本人として良く分かります。
ただ家具業界を内側から見ると今の日本の縮図が見える気がしてなりません。
本当にお客様が望むことを忘れ、効率とコストだけを追い求めているだけのように思えます。
弊社はお客様が失ってしまった家具への価値観を、
「良い家具を長く使う事で人生をより豊かにできる」に再構築する事で家具を販売しています。
真っ当な家具を生産されている家具メーカーを
より多くの人に知って頂けるように邁進していきます。
福岳産業株式会社
小川直樹